めまいについて
人間は自分の周囲の空間や位置を眼、内耳(三半規管・前庭)および手足の関節などで感知し、その情報は脳に伝えられ、そこで統合されて、体の微妙なバランスをコントロールしています。このいずれかの具合が悪くなるとめまいを生じます。
良性発作性頭位めまい症
- 特定の頭の位置の変化により(例えば寝返りをうった時、頭を洗うために下を向いた時、ベッドから起き上がった時など)出現するめまいです。耳を原因とするめまいのなかで最も発症数が多いものの、比較的治りやすい疾患です。内耳にある耳石器(じせきき:頭や体の傾き具合を感知する器官)の耳石が剥がれ、三半規管の中に入り込んでしまうことで発症すると考えられています。
- 症状としては、ある頭の位置や角度になると、めまいが起こります。ぐるぐる目が回る感覚が強いため、恐怖感や不安感、吐き気を伴ったりしますが、聴力低下はありません。めまいの持続時間は数秒から1分程度のことが多いです。赤外線スコープを用いた平衡機能検査、必要に応じて画像検査などを行います。
- 症状を抑える薬を使うことがありますが、いわゆる特効薬はありません。耳石の転がりを戻す体操があり、体を動かしていくことが重要です。様子をみていても、多くは数日から数週間のうちに症状は消えていきます。
メニエール病(内リンパ水腫)
- メニエール病は難聴、耳鳴、めまいの3つの症状を繰り返すのが典型的な例です。したがって初回の難聴、めまいではメニエール病の診断はされず、突発性難聴との区別が難しい場合もあります。低音域の難聴が主体ですが、症状が進むと中音域の難聴もみられることがあります。軽いものですと耳の閉塞感のみ症状として自覚される程度ですが、重度ですと回転性のめまいを伴います。一日のうちでも症状の変動がみられ、症状を繰り返しうることが特徴です。利尿剤の投与で改善しえますが、慢性的な経過をたどることもあり、ストレスの解消、睡眠を十分に取ることも必要です。
前庭神経炎
- 突発的に、自分や周囲がぐるぐるまわるような激しい回転性のめまいが起こり、それが1週間くらい続きます。吐き気や嘔吐を伴います。
- 発症する数日~2週間前に、風邪などの上気道の感染症にかかっていることが多く、風邪ウイルスによる前庭神経(平衡感覚を司る神経)の炎症が原因とも言われていますが、詳しい原因は解明されていません。
- 症状としては、突発的に、激しい回転性のめまいが起こり、1週間くらい続きます。吐き気や嘔吐を伴うことも少なくありません。2~3週間で自然に治るケースが多いのですが、症状を緩和する薬を用いることもあります。中には長期にわたって眼振が残ることもあります。