音声・嚥下・のどの疾患について
- のど(咽頭、喉頭)には声を出すこと(発声)、呼吸、飲み込み(嚥下)の3つの機能があり、どれも日常生活に重要な機能です。
- 声は、肺から吐き出された息がのど(喉頭)にある声帯を振動させることによってつくり出されています。そのため声の不調の大部分は、声帯の異常によっておこります。
- 声帯にできる疾患は、かぜのあとの声帯炎、声を酷使することによってできる声帯ポリープ・声帯結節や、たばこが原因となって声帯全長にわたってむくんだように腫れるポリープ様声帯、また咳ばらいや胃酸の逆流、手術時における気管内への管の挿入などを原因として起こる喉頭肉芽腫などがあります。腫瘍によるものとしては、ウイルスが原因となる乳頭腫や、たばこがリスクとなる喉頭がんがあり、どちらにおいても声がれが進んでいきます。
- 声帯の動きの異常によるものとしては、声帯を動かす神経の機能が損なわれてしまう場合があります(反回神経麻痺)。ほかに声帯の動きや形には問題が無いのに、強いストレスなどの心の要因が声の不調を招くこともあります。
- 声の不調の治療にあたっては、声の質の検査や喉頭内視鏡検査を行い、原因に合わせた治療を行います。
主に飲み込みにかかわるところは咽頭と言われており、食物が通過するところでもあります。口を開けてみえるところが中咽頭であり、さらに奥の方で喉頭の裏側から食道につながるところが下咽頭と言われています。飲み込みの障害、のどの異物感がある場合には咽頭の腫瘍の可能性もあるため内視鏡で観察することが必要となります。また高齢化に伴って飲み込みの障害(嚥下障害)も数多くみられるようになっています。どの程度飲み込む力があるか、誤嚥(食物などが間違って気管に入ってしまうこと)をきたしているのか、食事の形態に工夫する必要があるのか耳鼻咽喉科では内視鏡を用いて嚥下機能を評価することができます。
主な疾患
声帯ポリープ
- 声帯の酷使、声帯粘膜の出血、炎症、喫煙などによって生じえます。軽度のものであれば消炎治療、発声を控えることで改善しますが、長期にわたって発声に障害を生じる場合には手術を行うことがあります。
ポリープ様声帯
- 声帯全体がむくんだ状態になります。原因としては高度の喫煙歴が指摘されています。軽度であれば禁煙を守ることで改善が期待できますが、高度の浮腫では切除が必要となります。
声帯結節
- 職業的によく声を使う方に多い疾患です。声の衛生指導、発声法の指導など保存的治療が優先されますが、改善のない場合には手術を行います。ごく小さなものですので顕微鏡を用いた切除が行われています。
喉頭肉芽腫
- 声帯の後方にできやすい腫瘤性病変ですが、炎症によってできるものと考えられています。胃酸の逆流が関与したり、全身麻酔で行われる気管内チューブの挿入によってもできることがあります。基本的には投薬による治療が行われますが、必要に応じて切除が検討されます。
急性喉頭蓋炎
- 耳鼻咽喉科領域の中では最も危険な疾患の1つです。のどの痛みが強く、飲み込めないほどになります。強いのどの痛みと飲み込みの障害が急に起こった場合にはこの病気を疑って内視鏡検査を行う必要があります。抗菌薬、ステロイドの投与が行われますが、基本的には入院治療をお勧めします。
喉頭浮腫
- 炎症により喉頭の左側がむくんでいる状態(浮腫)です。
- 他にアレルギー的な原因により浮腫が見られることもあります。
- 浮腫が強い場合、通常は入院治療をおすすめします。
喉頭乳頭腫
- ヒト乳頭腫(HPV)ウイルスによって引き起こされることが多い良性腫瘍です。切除を要しますが、多発性に生じやすい、再発しやすいため、複数回の手術治療を要することも多い疾患です。
反回神経麻痺(声帯麻痺)
- 喉頭の運動の大部分をつかさどる反回神経が麻痺することによって、強い嗄声をきたしえます。反回神経麻痺は甲状腺、食道、肺、大動脈疾患などによって引き起こされることがあり、癌が原因であることも珍しくはないため、CT検査などが必要な病態です。原因がある場合には原疾患の治療、音声に関しては経過観察しても改善が見られない場合には外科的治療の適応となることもあります。
- 左声帯の動きが悪く、発声時に声門が適切に閉鎖しない、隙間がある状態
嚥下障害
- 飲み込みの障害は様々なものがありますが、主には脳神経の疾患(脳梗塞、脳出血、脳の変性疾患)、加齢、認知症、咽頭癌、食道癌、咽頭喉頭への放射線治療、反回神経麻痺などが挙げられます。内視鏡で腫瘍などの病変がないかのチェックや頭部の画像検査などを考慮します。のどの筋力トレーニングなどのリハビリテーションが主体にはなりますが、嚥下障害が高度の場合には胃瘻造設術、嚥下機能改善手術や誤嚥防止手術などが検討されます。
咽頭異物
- のどに異物が刺さるあるいは引っかかることがあり、痛みや飲み込みの障害をきたします。
- 写真の方は舌の奥に魚骨が刺さっていたため内視鏡用の鉗子を使って摘出しております。
慢性上咽頭炎
- 上咽頭は鼻の奥にあり、鼻からのどへとつながる場所にあります。通常口からのどを見ても見えないところにあり、耳鼻科の内視鏡検査でないと観察できないところです。上咽頭の慢性炎症によりのどの痛み、後鼻漏、痰、のどのイガイガ感、頭痛などがおこりえます。この場所に直接消炎剤を塗布することにより上咽頭炎による諸症状を緩和していきます。症状にもよりますが最初は週1-2回の処置からはじめます。Bスポット治療(Bは鼻咽腔の頭文字)あるいはEAT(Epipharyngeal Abrasive Therapy)とも称されています。
口腔、咽頭カンジダ
- 口腔内やのどにカンジダというカビが生えた状態です。免疫力が低下した場合やステロイド使用(内服、喘息に対する吸入)に伴って発症することがあります。
- 抗真菌薬の内服、貼付などで治療します。
- 診療科目/
- 耳鼻咽喉科・小児耳鼻咽喉科・アレルギー科
- 最寄駅/
- JR中央線「武蔵境駅」北口徒歩1分
休診:水曜・日曜・祝日▲土曜:14:00~17:00
窓口受付時間:午前診察12:15まで 午後診察18:15まで(土曜16:45まで)
開扉は診療開始10分前です
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