アレルギー性鼻炎
- アレルゲン(アレルギー症状を引き起こす原因となる物質)を吸入することによって粘膜で抗原抗体反応が生じ、鼻症状を起こした状態です。
アレルギー性鼻炎では、水のような鼻漏、くしゃみ、鼻閉などの症状が代表的です。鼻のかゆみも伴い、小児では鼻出血も多くなるようです。
原因となるアレルゲンには、代表的なものとしてダニ、ハウスダスト、花粉(スギ、ヒノキ、カモガヤ、ブタクサ)などが挙げられます。
1年じゅう症状が現れるタイプの多くはダニ、ダストによるアレルギー性鼻炎と考えられます。他に喘息や、アトピー性皮膚炎などの合併が少なからず認められます。
スギ、ヒノキなど花粉によるアレルギーは、その地域ごとの花粉飛散時期と一致して症状が発生します。 - 治療としては、抗原から離れる(接触を少なくするように努める)、薬物治療、減感作療法、鼻粘膜の質的変化をはかるレーザー治療などがあります。これらの中から、必要に応じて治療法を選択することになります。
当院ではアレルギー性鼻炎のレーザー治療、舌下免疫療法に対応しております。
レーザー治療
- 慢性的な鼻アレルギー症状でお悩みの方には、アレルゲンへの過剰な反応を起こす場である鼻粘膜を物理的に焼灼するレーザー治療もあります。効果は永久的ではありませんが、1年から数年の改善が期待されます。スギ花粉症の場合は飛散期でない時期に治療を終えることが望ましいです。
舌下免疫療法
- スギ花粉症とダニ(ハウスダスト)アレルギーの治療法の一つに、アレルゲン免疫療法があります。
- アレルゲン免疫療法は、以前は皮下に注射する皮下免疫療法しかありませんでしたが、近年、舌の下に治療薬を滴下する「舌下免疫療法」が登場しました。
- スギ花粉やダニを含むエキス(治療薬)の量を少量から始めて徐々に増やし、アレルギー反応を起こさないように仕向けていき、スギ花粉やダニに過敏にならないように導く治療法です。定期的な通院が必要となりますが、アレルギーの原因から治す治療法とされています。当院でも施行可能ですので治療をご希望の方はご相談ください。
重症花粉症に対するゾレア皮下注(抗IgE抗体療法)
- ゾレア(オマリズマブ)とはヒト化抗ヒトIgEモノクローナル抗体製剤です。
- 簡単に説明するとIgEというアレルギー反応に関わる抗体をブロックする抗体製剤です。
- 既存治療でコントロール不良な気管支喘息や慢性蕁麻疹などにも用いられています。
ゾレアの適応となる方
- 重度の季節性アレルギー、スギ花粉症の方が対象となります。
(例年花粉症シーズンでひどい症状のあった方はご検討ください) - 標準的治療としての抗アレルギー剤および鼻噴霧ステロイド治療を行い、1週間たっても効果不十分の場合に適応になります。
- スギ花粉症のIgE抗体価 採血でclass 3以上
- 総IgE 30 - 1500 IU/mlの範囲内(多すぎても少なすぎても投与不可です)
- 12歳以上
適応外の方
- ラテックスアレルギーの症状のある方
- 12歳未満
ゾレア治療の流れ
- ①
- 当院または前医にてアレルギー性鼻炎に対する標準的治療(抗アレルギー剤、鼻噴霧ステロイド治療)を1週間以上行います。
- ②
- 上記標準的治療で効果不十分*の場合にゾレア投与を検討します。
*くしゃみ又は鼻かみが1日11回以上、鼻閉で口呼吸が1日の内かなりの時間を占めると効果不十分と判定されます。
採血で総IgEを測定、スギ特異的IgE値も測定します。スギ特異的IgE値class 3以上、総IgE値30-1500 IU/ml であればゾレア投与の対象となります。 - ③
- ②の1週間後IgE総濃度と体重でゾレア総投与量・自己負担額が算出できます。
ゾレア投与ご希望の場合その旨を医師にお伝えいただき投与日をご予約下さい。
ゾレア投与は予約制になります。 - ④
- 予約日に来院、体調確認してゾレアを投与します。
1~4か所に皮下注射(上腕、下腹部、大腿など)します。
ゾレア投薬した場合でも標準的治療(抗アレルギー剤、鼻噴霧ステロイド治療)は継続してください。 - ⑤
- スギ花粉シーズン中2~4月の間に2週毎または4週毎に注射を行います。投与間隔は③のIgE総濃度と体重によって決まります。
主な副作用
- 局所の腫れ、赤みがあります。
- 頭痛、蕁麻疹、掻痒感
- アナフィラキシー反応(0.1-0.2% 海外報告)
- 投与後2時間ぐらいはアレルギー反応に注意してください。
- ゾレアは保険適応の治療ですが、抗体薬品のため薬剤費が高額になる可能性があります。3割負担の方で薬剤費のみで4,444円~69,953円/月、期間は毎年2月~4月の12週間程度、この他に検査代、診察料などがかかります。検査代としてはついでに多くのアレルギー項目をチェックする場合、3割負担の方で6,000円程度かかります。
自己負担額は一旦窓口でお支払いいただきますが、後日還付される可能性があります。 - 高額療養費制度:ご自身の加入している保険組合にご確認ください。
税金医療費控除:確定申告で税金の還付が受けられる場合があります。領収書は無くさずに保管しておいてください。
詳しいことをお知りになりたい方は以下の外部サイトをご参照下さい